2009spring_02

8時半に起床。
開館時刻に合わせて、大原美術館を訪問。電車の乗車予定時刻から逆算すると、70分しか時間がない!もったいないけど、駆け足で見て回りました。だいぶ前に一度来館したことがあったので、当時の記憶を辿りつつ。本館は、印象派の巨匠の作品がちょっとずつたくさん飾ってあります。名作揃いなので、美術に明るくなくてもきっと楽しめる。今回の目玉はデュシャンモナ・リザと、エル・グレコの受胎告知。とくに受胎告知は、背景の深い青やマリアの目力の強さに吸い込まれるような感覚を覚えた。ふと外を眺めると、景色が煙るくらいの豪雨が…。見て見ぬフリをして、館内を徘徊。外に出る頃には止んでいたのでホッとした(しかしこの後もちょくちょく雨に祟られることになるとは、この時はまだ知る由もない)。初めて入った分館は、青木繁熊谷守一など、日本の巨匠の作品がコンパクトに展示されていた。建物の前には、イサム・ノグチのオブジェがたくさん並んでいて見応え十分。ザッと流すだけのつもりだった工芸・東洋館が意外に面白くて、わりとじっくり見た。芹沢けい介のデザイン文字が、形といい色合いといい、とてもオシャレ。かわいい!ズラリと並んだ「工藝」表紙の装丁がステキだったな。仙台に記念館みたいなのがあるらしいので、いつか訪ねてみたい。
大原美術館の桜

バタバタッとホテルに取って返し、駅までタクシーで移動。ここから電車に乗って小一時間、宇野港に到着。フェリーに乗り換えます。窓から見える空模様は曇天。時々雨粒も落ちてきて、写真を撮りながらもテンション落としていたら、ふとファインダーに入り込んできたのは…

フェリーに揺られること約20分、今回の旅の最大の目的地、直島に到着。ずっとずっと行きたかった直島、とうとう来ちゃった…!で、下船した瞬間から暴風雨。え、何これ、試練?とても外を歩けるような様子ではないけど、滞在時間は27時間半と決めていたので、1分たりとも無駄にはできない。貧弱な折り畳み傘で、どでかい荷物かついで坂道を登り、辿り着いたのは山本うどん店。某ミ串の直島コミュニティで評判だったお店で昼ごはん。

かけうどんを頼んだら、鰹節が一パック付いてきた。初めてのサービス…。生卵もおまけしてもらえてありがたや。外側は柔らかいけど、芯に歯応えのあるアルデンテな茹で具合。うめかったです。港に戻る頃には雨も上がり、すっかり晴れ模様。バス待ちの間に、草間彌生の赤カボチャをパチパチ。

さて、ベネッセハウス(以下BH)宿泊者用のバスに乗って本日の宿へ。そう、今夜のお宿はBHなのです!パーク棟のダブル(最安)だけど!!チェックイン前に着いたので、荷物だけ預けてさてどうしよう…と考えていたら、素敵なホテルマンのおじさまに「どのように行動される予定ですか?」と尋ねられた。いちおう大まかな旅程は立ててきたけど、あらためて滞在予定時間と行きたい場所を告げたら、私が立ててきた旅程とほぼ同じコースを提案してもらえた。自分のプランニングが間違ってなかったことに安堵しつつ、さっそく地中美術館方面のバスを待とうとしたら「美術館方面に用事があるのでお送りしましょう」と、車を出してもらえた。直島の気候とか名物を伺いながら、美術館方面へ車を走らせる途中で「ついでに主要施設から離れたところにあるパブリックアート作品を見ていきましょうか」と、歩くと数十分かかる道中にある作品のところまで連れてって下さった。三島さんの巨大ゴミ箱と、小沢剛のスラグブッダ

地中美術館。チケットセンターで券を購入し、モネの作品をイメージした池や花壇を横目に見ながら本館に入ります。

安藤忠雄建築の美術館は、広大な敷地を要しながらも、モネ・タレル・マリアの三氏の作品しか収蔵されていません。なんとも贅沢な空間。基本的に中庭に面したスロープや階段を移動し、途中で建物内の展示室を見て回る構造だけど、外に出たり中に入ったり、だんだん自分がどこにいるのか分からなくなってくる不思議。壁と壁の継ぎ目が丸くならされた真っ白な部屋や、ライティングの凝った部屋、天井が高くて展示物のレイアウトに工夫の凝らされた部屋などを経るので、それで平衡感覚がぼんやりしてくるのかもしれない。室内の明かりは天然採光で、季節や天候によって作品の見え方も変わるそうです。面白い美術館でした。
直島の桜
美術館のある高台からは瀬戸内海も見渡せて、本当にいい景色。思ったより早く退館したので、宿まで歩いてみることにした。しかしここで地図の読めない女っぷりを発揮。軽く道に迷って呆然としていたら、通りかかったBHのバスに拾ってもらえて助かった…。BHの近くで降ろしてもらって、海岸沿いのオブジェをパチパチ。


一度帰宿して着替えて、バスに乗ってベネッセミュージアムへ。カフェでウェルカムドリンクをいただいていると、ホテルマンのおじさまと再会。先ほどのお礼と、地中美術館の感想を伝えたら「これからギャラリーツアーに参加するなら、ツアー終了の頃はちょうどサンセットですね。オーバルの屋上からの眺めは最高ですよ」と、夕景の携帯写真を見せてもらい、オーバルまでの道のりと、サンセット観賞のポイントを伝授していただく。ほどなくツアーの時間になり「菊田支配人のガイドは面白いですよ。週末のツアーは大混雑だけど、平日だからお客さんも少なくてラッキーですね。いってらっしゃいませ」と笑顔で送り出された。以前ツアーに参加した人から「菊田支配人のガイドが素晴らしかった」と伺っていたので、当たったらいいなーと思ってたら、ビンゴ! 果たして支配人のガイドは、とても分かり易く、作品への思い入れが感じられて人間味があって面白かった。ガイドブックをなぞったような無味乾燥なガイドが多い中、主観が入りまくりのガイドは新鮮。ツアーが終わる頃には、だいぶ陽が傾いてきたようだったので、宿泊者用ケーブルカーに乗ってオーバル棟へ。屋上360度のパノラマは、すごくいい眺め!しかし風が強い!寒い!!歯の根ガチガチいわしながら、夢中でシャッター切った。雲に邪魔されて水平線に沈む太陽は見られなかったけど、それでもじゅうぶん美しく神々しい風景でした。


オーバル棟は高台の上にあって、全室オーシャンビュー。いつか泊まってみたい…!

夕食は、BHのビーチ棟にあるテラスレストランで。前菜・メイン・デザートに飲物のコースだけど、それぞれ好きなメニューが選べるので満足度が高い。前菜は、ジャガイモとベーコン・チーズのキッシュ。ちゃんとアツアツのサクサク。バターの香り豊かで、前菜から満足の一品。そしてメインはステーキのフレンチフライ添えを選んだのだけど、これが凄いのなんの。

とにかくデカイ。女性の手のひら2枚分はあるサイズ。あまりのボリュームに呆然としていたら、サーブしてくれたお給仕さんに「ご満足いただけましたか(ニヤリ)」て言われた。。気を取り直して箸をつけるも、肉と芋の脂ッ気にどんどんHPを削られていく…。けっきょくステーキは脂身を外してなんとか完食。ポテトは半分も食べられずに下げてもらった。年に数回、肉に負けそうな時があるのだけど、まさに今夜がそれだった。疲れてたのかしら…魚にすればよかったな………。

食後のデザートには苺のタルトをすすめられたけど、サッパリしたフルーツサラダをチョイス。ミントの風味が利いていて、とてもおいしかった。一緒に頼んだオリーブのサイダー、シードルのような酸味と青味が感じられて、面白くおいしかったので、これはまた飲んでみたい。

さて部屋に戻ってきました。広さは28平米。広い。そしてTVがない。リクエストすれば用意して下さるそうだけど、せっかくなので備え付けのウェーヴレディオで持参したテイ様のCDを聞きながら、池波先生のエッセイを読んだ。なんとも贅沢な夜。


翌朝の早起きに備えて、日付が変わる前に就寝。3日目に続く。